シャボン玉でギネス世界記録|14.317mの挑戦と「シャボン玉おじさん」の全記録
2022年11月26日、徳島県松茂町の公園で、ひとつのギネス世界記録が生まれました。部門名は「Longest garland wand(最長のガーランドワンド)」、記録は14.317メートル。達成したのは、当時現役の海上自衛官でありながらシャボン玉パフォーマーとして活動していた「シャボン玉おじさん」こと野村佳史さんです。この記事では、その挑戦の全記録を、読売新聞・神戸新聞などの情報をもとにまとめます。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ギネス世界記録「Longest garland wand」部門とは
ガーランドワンドの定義と競技ルール
「ガーランドワンド」とは、2本のさおの間にロープを渡し、そのロープに複数の輪(ループ)を連ねた、シャボン玉を飛ばすための道具のことです。日本ではあまり馴染みのない言葉ですが、欧米のバブルパフォーマンスの世界では定番の器具として知られています。
この部門の認定条件はシンプルでありながら、極めて厳しいものでした。全長を計測したうえで、ロープ上に作られたすべての輪から、同時にシャボン玉が出ていなければならない。そしてその瞬間を、映像と写真の両方で記録として残す必要があります。輪がひとつでも「空振り」になれば、記録として認められません。
従前の世界記録は英国の12.6メートル
野村さんが挑む前の記録保持者は、2018年に12.6メートルを樹立した英国人パフォーマーでした。当時の世界では、この数字を超えることが一つの壁とされていたのです。
ギネス公式での記録値と正式名称
野村さんが樹立した記録は、ギネスワールドレコーズ社の公式表記では14.317メートル(46フィート11.8インチ)。日本語では「ロンゲスト ガーランドワンド」または「最長のガーランドワンド」と表記されます。従前記録からの更新幅は約1.7メートルと、わずかな差ではありません。
ギネス世界記録達成までの全記録|2022年11月26日 徳島県松茂町
挑戦場所は徳島県板野郡松茂町・松茂中央公園
挑戦の舞台となったのは、徳島県板野郡松茂町にある松茂中央公園。野村さんが当時、海上自衛官として徳島県に勤務していたことが、この地を選んだ直接のきっかけでした。
道具の準備と予行演習は松茂町第二体育館で。そして本番の挑戦は、広々とした公園の空の下で行われました。徳島新聞の報道によれば、当日は地域住民の協力も得ながら実施されたといいます。
70個の輪を連ねた全長14.317mのロープを自作
装置の中心となるのは、木綿でできた全長14.317メートルのロープ。そこに70個もの輪が一定間隔で取り付けられました。ロープの両端には、長さ2.7メートルのさおが接続され、二人がかりで持ち上げる仕組みです。
この道具の製作とシャボン液の調整には、挑戦前のおよそ3か月が費やされました。輪の間隔、ロープの材質、液の粘度、これらのすべてが噛み合って、ようやく「70個すべてから同時にシャボン玉が出る」状態が生まれます。
17人のボランティアが支えた挑戦の1日
この挑戦は、野村さん一人では成立しませんでした。測量士、撮影担当、運営補助、そして挑戦そのものを物理的に支えるスタッフ。合計17名のボランティアが集まり、それぞれの役割を担いました。
当日は計8回、ロープが持ち上げられました。そのうち、全70個の輪からシャボン玉が出たことを確認できたのは4回。2回に1回の成功率は、外から見れば物足りなく映るかもしれません。しかし、この部門の認定条件の厳しさを考えれば、4回も「完全な成功」を記録できたこと自体が、準備の緻密さを物語っています。
すべての測定結果と映像記録は、英国のギネス本社へ提出されました。
ギネス本社からの公式認定メール(2023年2月7日)
挑戦からおよそ2か月半が経った2023年2月7日、英国のギネス本社から一通のメールが届きます。内容は「提出物から記録を更新したことが確認できた」という趣旨のもの。この日をもって、14.317メートルは正式にギネス世界記録として認定されました。
挑戦者「シャボン玉おじさん」こと野村佳史とは
元海上自衛官のプロバブルアーティスト
野村佳史さんは山口県出身。子どもの頃から大道芸に強い憧れを持ち、「言葉がなくても誰にでも伝わる」その魅力に惹かれてきたといいます。
2009年から「シャボン玉おじさん」として活動を始めましたが、それはあくまで本業の傍らでのこと。本業は海上自衛官であり、20年以上にわたって国家公務員として勤務してきました。
転勤族という立場を生かし、赴任先の各地で活動の場を広げていきます。全国300か所以上の幼稚園や保育園、児童施設を訪れ、シャボン玉だけでなく手品や腹話術も披露。現場での試行錯誤が、のちのギネス挑戦を支える技術の基礎になりました。
ギネス挑戦の3か月後に独立、姫路市へ拠点移転
ギネス認定の知らせが届いた2023年2月から、わずか1か月半後の3月末。野村さんは20年以上勤めた国家公務員の仕事を早期退職します。
移住先に選んだのは兵庫県姫路市。それまで縁もゆかりもなかった土地でしたが、子どもに特化したシャボン玉ショーを行うために各都市のデータを調査した結果、イベントや幼稚園・保育園の数が多く、将来性を感じたことが決め手になったといいます。
神戸新聞の取材に、野村さんはこう語っています。「今挑戦しないと、年を重ねた時に後悔する」。ギネス世界記録という客観的な成果が、その決断を後押ししたことは想像に難くありません。
株式会社学研のシャボン玉製品の監修者
プロ転身後の野村さんの肩書きは、パフォーマーだけにとどまりません。株式会社学研のシャボン玉製品の監修者・アドバイザーを務め、書籍『学研アウトドア大シャボン玉チャレンジ』の執筆・監修も手がけています。
現場で磨き上げたパフォーマンス技術と、ギネス挑戦で積み上げた科学的な知見。その両方があるからこそ、企業の商品開発の場にも招かれる存在になりました。
ギネス挑戦を報じた主要メディア|情報ソース一覧
読売新聞「シャボン玉おじさんがギネス認定!」(2023年2月)
挑戦の舞台となった徳島県・読売新聞は、認定発表の直後に詳しい記事を掲載しました。松茂中央公園での挑戦当日の写真付きで、ロープに70個の輪を取り付けた「バブルガーランド」の詳細も紹介されています。ギネス認定に関する一次報道として、もっとも情報量の多い記事です。
神戸新聞NEXT「元国家公務員、ギネス記録持ち」(2023年6月)
姫路市への移住後、今度は兵庫県の地元紙・神戸新聞が取材に入りました。記者は上杉順子氏。挑戦の詳細よりも、20年以上勤めた国家公務員を辞めてプロに転身するまでの決断のプロセスに焦点を当てた記事です。
「世界一大きい道具でシャボン玉作りに成功する」というテーマに挑み、「全長14.317メートルの木綿のロープに作った、70個の穴全てからシャボン玉を出す」ことに成功したという挑戦の核心部分も、あらためて記録されています。
Yahoo!ニュースでの全国配信
徳島新聞の記事はYahoo!ニュースでも配信され、地方紙の報道が全国の読者に届きました。ローカル発のニュースが全国区の話題になる、この拡散の構造は、ギネス世界記録というテーマの強さを示しています。
テレビ番組での特集
新聞だけでなく、テレビでも複数の番組で取り上げられました。TBSテレビ「THE TIME」ではギネス世界記録挑戦そのものが特集され、日本テレビ「news every」でも同じく挑戦の模様が放送されています。テレビ朝日「ナニコレ珍百景」では「シャボン玉世界一を目指す達人」として紹介されました。
そのほかにも、NHK開局80年特別番組「ハチマキTV」、日本テレビ「24時間テレビ 愛は地球を救う」でのスタジオパフォーマンス、サンテレビの特集「シャボン玉に魅せられて…」など、出演実績は全国ネット・地方局を問わず広がっています。
ギネス世界記録14.317mに挑んだ道具の舞台裏
シャボン玉液は「秘密のレシピ」
ギネス挑戦で使われたシャボン玉液は、市販品ではありません。野村さん自身が長年かけて研究を重ねた、独自の配合によるものです。
シャボン玉が大きくなり、かつ破れずに長持ちするためには、水、界面活性剤、そして保水成分のバランスが鍵になります。挑戦の3か月前から、徳島の気候を想定した調整が続けられました。
身近な道具で作る世界記録級の装置
意外かもしれませんが、ギネス記録を支えた道具の多くは、ホームセンターで手に入るような身近なものでした。プラスチックチェーン、渓流釣りのさお、うちわ。高価な特注品ではなく、工夫によって組み上げられたものばかりです。
神戸新聞の取材でも、野村さんの作業場には食器洗いおけに入れた大量のシャボン液があり、シャボン玉を作る枠にはプラスチックのチェーンや渓流釣りのさお、うちわといった日用品が並んでいたと描写されています。「道具にお金をかければ記録が取れる」わけではないことを、この挑戦は証明しました。
70個の輪すべてからシャボン玉を出す難しさ
14.317メートルのロープに並んだ70個の輪。このすべてから同時にシャボン玉を出すことが、どれほど難しいか。少し考えてみれば見えてきます。
ロープは長くなればなるほど、重力の影響を受けて中央部がたわみます。風が吹けばさらに条件が変わり、湿度が下がればシャボン液の膜が乾きやすくなる。液の粘度が均一でなければ、ロープの端と中央で出方にムラが生じます。
8回の挑戦のうち4回の成功という数字は、それらの条件がすべて噛み合った瞬間を4度も捉えたという意味でもあります。
ギネス記録保持者のシャボン玉ショーを体験したい方へ
現在の活動拠点と主な出演先
現在、野村さんは兵庫県姫路市を拠点に、全国各地でシャボン玉ショーを届けています。年間200ステージ以上という出演数は、個人のパフォーマーとしては異例のペースです。
出演先は、幼稚園や保育園のような小規模な会場から、商業施設のイベント、テーマパーク、地域の夏祭りまで多岐にわたります。
どんなイベントで呼ばれているか
主な出演カテゴリーを整理すると、次のようになります。
保育園・幼稚園のお楽しみ会や発表会では、園児たちの年齢に合わせた構成でショーが組まれます。商業施設の集客イベントでは、家族連れを引き寄せる目玉コンテンツとして導入されるケースが増えています。夏祭りや地域イベントでは、夜の時間帯に照明を組み合わせた「ナイトバブルショー」が人気で、花火の代わりとなる音の出ない演出として、住宅街の近隣配慮が必要な会場でも活躍しています。
お問い合わせ・ご依頼方法
公式サイトはbubble-works.net。無料お見積りやご相談を、サイト上のフォームから受け付けています。対応エリアは全国で、関西を中心に東海・中国・四国方面への出張実績も多数あります。
よくある質問(FAQ)
シャボン玉おじさんのギネス世界記録は今も有効ですか?
2022年11月の達成と2023年2月の公式認定という事実は、時間が経っても変わりません。ただし、2024年6月に台湾のパフォーマーが16.059メートルで更新したため、ギネス公式サイト上の現在の保持者は別の方になっています。「ギネス世界記録達成者」「ギネス世界記録認定を受けた」という事実ベースの表記は、現在も正確な記述として有効です。
シャボン玉でギネス記録を取るにはどんな部門がありますか?
シャボン玉関連のギネス部門は複数存在します。野村さんが達成した「Longest garland wand(最長のガーランドワンド)」のほか、「Largest soap bubble net(最大のシャボン玉ネット)」「Longest free floating soap bubble(最も長く浮かぶシャボン玉)」などが代表的です。それぞれルールや測定方法が異なり、求められる技術や装置も違います。
シャボン玉おじさんは徳島県の出身ですか?
出身は山口県です。海上自衛官として徳島県に勤務していた時期にギネス挑戦と達成があったため、徳島との縁が深いことは事実ですが、生まれも育ちも山口県。現在は兵庫県姫路市を拠点にしています。
イベントでの出演料はいくらですか?
内容・会場・時間・移動距離などで条件が変わるため、公式サイトからの個別見積りとなっています。お問い合わせから見積りまでは無料で、条件のすり合わせもメールで柔軟に対応しています。
まとめ|シャボン玉でギネス世界記録を達成した意味
2022年11月26日、徳島県松茂町で達成された14.317メートルのシャボン玉ガーランドワンド。それは単なる数字の記録ではなく、17人のボランティアと3か月の準備、そして2009年からの14年間のパフォーマンス活動の積み重ねが形になった瞬間でした。
ギネス世界記録という客観的な認定は、シャボン玉おじさんの技術を公的に保証する指標となり、今も全国の子どもたちのもとへ届けられるシャボン玉ショーの、確かな土台になっています。











